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後継者を孤立させない「もうひとつの大事な教育とは?」  (前編)

これから会社を継ぐ人間にとっては人生の大きな決断。自身の能力にも 周りとの人間関係にも自信が持てず大きなプレッシャーを感じるのは当然です。この先膨大な事業実務の修行前に「社長」としてのあるべき姿を理解させ 人間性を磨き 自らの姿に自信をつけさせる教育が不可欠です。

原点は後継者の立場になり考えること

後継者教育、後継ぎの育成というと やはり現経営者(経営陣)側の思いに基づく計画・実行となるものです。
ここではもうひとつの原点、後継者の立場からの不安と焦り、今 本人が本当に必要としている支援について考えたいと思います。
後継者がこの先の事業承継後、孤立したり 迷走したりすることのないよう なるべく早い段階でに身につけさせたい「社長としての」基本教育ついて具体的にお伝えいたします。



後継者教育 ____ それぞれの課題

①現経営者の悩み

いよいよ自社の経営をバトンタッチする人物が決まった。その時点から事業を継がせるための大きな役目が始まります。後継者教育には5年~10年の期間が必要と言われ計画性と周囲の協力が欠かせません。
後継者が優秀な資質と十分な経験を持つ人材なら安心ですが、ほぼ大半の経営者は後継ぎ人材の未熟さに不安を抱えておられます。現場実務能力、経営知識、管理能力、統率力、コミュニケーション能力など 経営者に不可欠な資質はまだまだ・・。(長期の教育が必要だ)
そして実務能力だけでなく本人の性格・人間性にも、社長としての適格性を不安視される方も多いようです。ことに後継ぎが自分の子供の場合は その性格と癖を知り尽くしているだけに心配のタネも大きくなるのでしょう。

②後継者の悩み

自分の人生を変える大きな節目。社長の座を得て将来の事業で活躍できる夢と期待を持つ一方で、果たしてこの自分に事業を継ぐだけの資質と能力はあるのだろうか、失敗して大変なことにならないだろうかという大きな不安の渦中にいるのが後継者です。
顧問先やセミナー会場で聞く新任経営者の不安の声で一番大きいのは「社外での人間関係、人づきあい」「企業人としての常識や礼儀」「会話力」です。 実は小さな、基本的な事ばかりなのに驚きます。今までと違う "社長としての対人スキル" に全く自信がないという本音が溢れているのです。

③初めに自信をつけさせることの大切さ

「目上の人と会うのが怖い」「外でのつき合いが苦手」「人前でスピーチは絶対できない」
後継者が対人恐怖症や苦手意識をもっていたら社長業は務まりません。社内外での幅広い人間関係が経営の基盤だからです。
であれば 本人の性格だから仕方ないと諦める前に 社長として信頼され好感を持たれる人格教育、対人スキルを高めるための指導を初めに行うべきだと考えます。
基本マナーを教え 小さな行動変容から成功体験を重ねていくと、知らぬ間に自信をつけ 気持ちと態度が見違えるように変わることを長年見続けてきました。

なぜ後継者に「対人スキル教育」(人格教育)が必要なのか?

①社長になると周囲からの見られ方がどう変わるのか?

社長交代の時期には一気に社外の人と会う機会が増えます。取引先や金融機関、地域や経済団体をはじめ これまで社業でお世話になった方々への挨拶訪問、就任行事での披露など 一気に顔が広まる期間です。
その時 周囲の視線はこれまでと変わり「社長としての」姿、態度、話し方を無意識にながらもチェックしています。身なり、持ち物、言葉づかいまでも厳しく評価されるようになるのです。
もちろんこの先も 顧問や税理士などの先生方や 事業のキーマンなど目上の方々とのお付き合いが永続するのが社長の立場。社長業とは社交業と言われる所以です。
常に誠実で礼儀正しく、相手から信頼を得らる姿であることが求められます。

②大事な場面では上質なスーツを着る

これから先、重要な面談や商談、社外の会合やステージ上でのスピーチも増えていく後継者には 先ず「社長としての姿かたち」を指導していきます。
会社の代表者として見られる人間には 服装や持ち物のT.P.Oがあります。目上の方々が集まるような場でカジュアルすぎる身なりや崩れたラインの服装では信用とマナーセンスを疑われてしまいます。靴や鞄も見られています。これまでのファッションの考え方から脱却し大事な場では「服装は相手のためにある」というマナーを教えるべきです。髪型も同じです。
スーツを持っていない後継者には初めにオーダースーツを仕立てることを勧めています。身体にピッタリと合う上質なスーツを着ると 姿勢もスタイルも格段に堂々と見え、本人の自信につながるようです。(紳士服の専門家は仕事や体形に応じて本人を引き立てるスーツ選びをアドバイスしてくれます)
『人は着るもののようになる』 外見が変わると内面に大きく作用し 周囲からの評価が激変することを体験させてみてください。

③人前でのスピーチに強くなる

若手の新任後継者のほとんどが「人前でのスピーチ」に大きな苦手意識を持っています。しかしながらこの先の社長業の中で、社内外の行事・イベントなど大勢を前にしたあいさつやスピーチ、乾杯の音頭取りや会合での自己紹介スピーチなど 常に多くの「話すステージ」が待っています。
ならば、自信をつけるしかないのです。初めは苦痛だけのスピーチも、基本的なマナーと勘所を押さえれば 実はすぐにマスターできます。
①常に指名される心の準備をしておく ②スピーチの目的を考える(誰に対し・何を伝える・一番立てるべき人物は?) ③話は短く簡潔に ④人名・社名・数字・固有名詞は正確に ⑤主催者・尽力者・目上の人物を必ず立てること
慣れるまでは原稿(スピーチライティング)を手伝うなど 先ずは自信をつけさせることがポイントです。

④社外行事・社外でのつき合い・冠婚葬祭のマナー

社外での人づきあいの態度や礼儀に全く自信がない、と相談されることが多いのですが、会社の代表として取引先のイベントや披露宴などに一人で参加する時にどう振舞えば失礼がないのか、プレッシャーを抱えている後継者は少なくありません。
ここで教えるべき基本は「会社の代表者」「公人」としての態度に徹するべきマナーです。
①服装に気を配る ②イベント・式典・パーティーでは会場に入ったら 初めに自分の方から目上の方や取引先などにあいさつに回ること ③名刺は十分補充しておく ④社長としての態度と会話に徹する⑤お酒の席での態度に注意する
社外に出ると気が緩み発散したくなる気持ちは理解できますが いつも周囲から注目されていることを認識させ痛い恥をかかせないよう教育していくことが大切です。

      (後編へつづく)

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